安心して過ごすための転倒予防のヒント
加齢に伴い、体のバランスを取りにくくなったり、小さな段差につまずきやすくなったりすることがあります。住み慣れたご自宅でも、思わぬ場所で転倒してしまい、怪我につながることも少なくありません。日々の暮らしの中で、少しの工夫をすることで、転倒のリスクを減らし、より安心して過ごすことができます。
なぜ自宅で転倒しやすいのでしょうか
自宅は最も長く過ごす場所ですが、意外なところに転倒の原因が潜んでいます。例えば、ちょっとした段差、滑りやすい床、物の置きっぱなし、暗い廊下などが挙げられます。また、体調がすぐれない時や、急いでいる時にも転倒は起こりやすくなります。ご自身の体の変化に気づき、住まいの環境を見直すことが大切です。
今すぐできる！転倒予防のための簡単な自宅での工夫
特別なリフォームをしなくても、日々の生活の中でできる簡単な工夫で、転倒のリスクを減らすことができます。
- 床を整理整頓する
- 部屋の床に物やコードを置きっぱなしにしないように心がけましょう。つまずきの大きな原因となります。
- 家具の配置を見直し、通り道を広く確保します。
- 段差に注意する
- 家の中にある小さな段差（敷居、マットの端など）を再確認します。段差が大きい場合は、目立つ色のテープを貼ったり、可能であれば小さなスロープを設置することも検討できます。
- カーペットやラグは、端がめくれないように固定するか、滑り止めシートを下に敷きます。
- 照明を工夫する
- 部屋全体を明るく保ち、特に廊下や階段、玄関などの足元が見えにくい場所は、照明を増やすことを検討します。
- 夜中にトイレに行く際などのために、寝室からトイレまでの通路にフットライトやセンサーライトを設置すると安全です。
- 手すりや補助具を活用する
- 立ち上がりや歩行に不安がある場合は、玄関、廊下、トイレ、浴室などに手すりの設置を検討します。簡易的な突っ張り棒タイプの手すりなどもあります。
- 椅子から立ち上がるのが大変な場合は、座面の高い椅子を選んだり、立ち上がりを補助するクッションを使ったりするのも良いでしょう。
- 滑り止め対策
- 水回り（浴室、トイレ、キッチン）の床には、滑りにくいマットを敷きます。
- 室内で履くスリッパは、底が滑りにくいものを選びます。靴下も滑り止め付きのものが市販されています。
日々の生活動作での注意点
転倒は環境だけでなく、体の動かし方にも関係します。日々の動作で少し気をつけるだけでも予防につながります。
- 急な動きを避ける
- 急に立ち上がったり、急に方向転換したりするとバランスを崩しやすくなります。ゆっくりとした動作を心がけましょう。
- 立ち上がる・座るときの工夫
- 椅子やベッドから立ち上がる際は、手すりや家具をしっかりと掴んで、ゆっくりと体を支えながら立ち上がります。座る時も同様に、焦らずゆっくりと座ります。
- 階段の昇り降り
- 階段を昇り降りする際は、必ず手すりを使い、一歩ずつ確実に行います。足元に注意を向けましょう。
- 浴室やトイレでの注意
- 浴室は床が濡れて滑りやすいため、必ず滑り止めマットを使用します。浴槽の出入りには手すりがあると安心です。
- トイレでも、立ち上がる際に手すりがあると楽になります。
もしもの時に備えて
どんなに気をつけていても、万が一転倒してしまう可能性もゼロではありません。もしもの時に慌てないよう、備えをしておくことも安心につながります。
- すぐに助けを呼べる工夫
- 携帯電話を常に身近に置いておく、緊急通報ボタン付きのペンダントや腕時計を身につけるなど、すぐに外部に連絡できる手段を準備しておきましょう。
- ご家族やご近所の方と、万が一の際の連絡方法について話し合っておくことも大切です。
- 地域の相談窓口
- お住まいの市区町村の福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談すると、手すりの設置補助制度や、緊急通報システムなどの利用について情報を得られる場合があります。どのようなサービスが利用できるのか、一度問い合わせてみるのも良いでしょう。
まとめ
自宅での転倒予防は、難しく考える必要はありません。まずは身の回りの環境を見直し、ご自身ができる小さな工夫から始めてみましょう。床の片付け、段差への注意、照明の調整など、一つ一つの対策が、より安全で安心できる日々の暮らしにつながります。もし、体の動かしにくさを感じることが増えてきた場合は、かかりつけ医や地域の専門機関に相談することも、安心への一歩となります。無理のない範囲でできることから取り入れてみてください。