なんだか「億劫だな」と感じる日も 少しの工夫で暮らしを整えるヒント
日々の暮らしの中で、「なんだか今日は何もする気が起きないな」「あれもこれも億劫だな」と感じることがあるかもしれません。特に、体の動きが以前と比べてスムーズでなくなったり、一人で過ごす時間が増えたりすると、そうした気持ちになりやすいものです。しかし、これは決して特別なことではありません。多くの人が経験することですし、自分自身を責める必要は全くありません。
こうした億劫な気持ちと上手に付き合い、少しでも日々の暮らしを心地よくするための具体的なヒントをいくつかご紹介します。特別な道具や大きな変化は必要ありません。まずは、今すぐにでも試せる小さなことから始めてみませんか。
億劫な気持ちの背景にあるもの
なぜ億劫に感じてしまうのでしょうか。原因は一つではありませんが、いくつか考えられることがあります。
- 体の変化: 加齢に伴い、以前よりも疲れやすくなったり、体のあちこちが痛んだりすることで、何かを始めること自体が負担に感じられることがあります。
- 生活の変化: 仕事を離れたり、社会とのつながりが減ったりすることで、日々の生活にハリがなくなり、単調に感じられることがあります。
- 孤独感や不安: 一人でいる時間が長いと、ふと孤独を感じたり、将来への漠然とした不安が生まれたりすることが、気持ちの沈みにつながることがあります。
- 「〜しなければならない」というプレッシャー: 「ちゃんとしなければ」「きれいにしなければ」といった思いが強すぎると、それがかえって負担になり、行動を億劫にさせてしまうことがあります。
これらの背景を理解するだけでも、自分を少し楽にしてあげられるかもしれません。
億劫な気持ちを少し楽にする具体的なヒント
それでは、億劫な気持ちに寄り添いながら、日々の暮らしに小さな変化をもたらすヒントを見ていきましょう。
とにかく「小さく」始める
「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と考えると、全てが重荷に感じられます。そんな時は、目標をうんと小さくしてみてください。
- 例: 「部屋を片付ける」ではなく、「テーブルの上の本を一冊元の場所に戻す」
- 例: 「朝食を作る」ではなく、「コップ一杯の水を飲む」
- 例: 「洗濯をする」ではなく、「洗濯かごから靴下を二枚取り出す」
とにかく最初の小さな一歩だけを決めて、それを実行してみます。もしできたら、自分を褒めてあげてください。次のステップに進むかどうかは、その時の気持ちで決めて構いません。
タスクを細分化する
「掃除」や「買い物」といった大きなタスクは、それだけで気が重くなることがあります。これをさらに細かいステップに分解してみましょう。
- 例(掃除):
- 掃除機を出す
- リビングのこの部分だけ掃除機をかける
- 掃除機をしまう
- 拭き掃除用の布を用意する
- テーブルの上だけ拭く
- 例(買い物):
- 今日の献立を一つだけ決める
- その献立に必要なものをメモする
- 財布とエコバッグを用意する
- 玄関を出てスーパーまで行く
- 必要なもの一つだけ買って帰る(最初はこれでも良いのです)
このように、一つ一つの行動を明確にすると、「これならできそう」と感じやすくなります。
「完璧」を手放す
完璧を目指そうとすると、疲れてしまいます。特に億劫な気持ちが強い時は、「完璧でなくて良い」と自分に許可を出してあげましょう。
- 掃除は毎日隅々までしなくても大丈夫です。気になるところだけ、手が届く範囲だけきれいにすれば十分です。
- 食事も、毎日栄養バランスの取れた手作りのものを用意する必要はありません。時にはお惣菜や冷凍食品に頼っても、何も問題ありません。
- 身だしなみも、誰かに見せるためではなく、自分が気持ちよく過ごすために整えるものです。パジャマのままでも、帽子をかぶるだけでも、ご自身が心地よければそれが一番です。
「これくらいで良いや」と、ご自身に優しくなってあげてください。
小さな気分転換を取り入れる
気持ちが塞がっている時こそ、意識的に気分転換の機会を作りましょう。大げさなことは必要ありません。
- 窓を開けて新鮮な空気を吸い込む
- お気に入りの音楽を短い時間だけ聴く
- 温かい飲み物をゆっくりと味わう
- 好きな香り(アロマやお香など)を焚いてみる
- 晴れている日には、ベランダや庭に出て少し日光を浴びる
- 植物に水をやる
ほんの数分でも、こうした時間を持つことで気持ちが切り替わることがあります。
少し先の楽しみを作る
今日の億劫な気持ちを乗り越えるための、小さなモチベーションになります。
- 今日の夕食に、いつもより少しだけ手間のかかる好きな料理を一品加える計画を立てる
- 楽しみにしているテレビ番組を思い出す
- 週末に読みたい本や見たい映画を考える
- 友人や家族に電話してみようかな、と予定を立てる
未来に目を向けることで、現在の気持ちから少し距離を置くことができます。
身体を軽く動かしてみる
「億劫で体を動かす気になれない」と思うかもしれませんが、ほんの少しでも体を動かすことで、気持ちが前向きになることがあります。
- 座ったままで手足をブラブラさせる
- ゆっくりと肩を回す
- 椅子から立ち上がって、その場で足踏みをする
- 家の中を短い距離だけ歩いてみる
無理のない範囲で、ほんの数分でも体を動かしてみてください。
環境を整える工夫
億劫な気持ちを後押ししないよう、物理的な環境も少し整えてみましょう。
- よく使うものは、すぐに手に取れる場所に置く。
- 片付けが苦手な場所には、一時置き用の箱を用意する。
- 朝起きたら、まずカーテンを開けて部屋に光を入れる。
- 好きなものを目につくところに飾る。
こうした小さな工夫が、日々の行動のハードルを少し下げてくれます。
誰かに話してみることも大切です
どうしても気持ちが晴れない時や、億劫な気持ちが何日も続く場合は、一人で抱え込まずに誰かに話してみることも考えてみてください。友人や家族、あるいは地域の相談窓口(地域包括支援センターなど)に連絡を取ってみるのも一つの方法です。話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。
まとめ
日々の暮らしの中で億劫な気持ちになることは、誰にでも起こりうることです。そんな時は、自分を責めずに、まずはご自身の気持ちに優しく寄り添ってあげてください。そして、「小さく始める」「完璧を目指さない」「小さな気分転換を取り入れる」といった具体的なヒントを、無理のない範囲で試してみてください。
全てを一度にやろうとする必要はありません。今日できること、今の気持ちでできそうなこと一つから始めてみませんか。ご自身の心と体を大切にしながら、ご自身のペースで日々の暮らしを整えていくことが、きっと前向きな気持ちにつながっていくはずです。