日々の「あれ、どこだっけ?」を減らす暮らしの工夫
日々の「あれ、どこだっけ?」に寄り添う
年齢を重ねると、若い頃には気にならなかった些細な「うっかり」が増えることがあります。例えば、探し物が増えたり、大切なことをつい忘れてしまったり。「あれ、どこに置いたかな」「さっきまで手に持っていたはずなのに」といった経験は、誰にでもあるものです。
こうした小さな「うっかり」が積み重なると、なんとなく不安になったり、自信をなくしたりすることもあるかもしれません。しかし、これは特別なことではなく、日々の暮らしにちょっとした工夫を取り入れることで、多くの場合は軽減することができます。ここでは、日常で起こりがちな「うっかり」や忘れ物を減らし、安心して日々を過ごすための具体的なアイデアをご紹介します。
探し物を減らす定位置管理のヒント
家の中で「あれ、どこだっけ?」となりやすいものの代表は、鍵、財布、眼鏡、携帯電話などではないでしょうか。毎回探していると、時間もかかる上に気持ちが落ち着かなくなります。
具体的な工夫
- 「ここが定位置」を決める: 玄関の棚の上、リビングの特定の引き出し、キッチンカウンターの角など、「これだけは必ずここに置く」という場所を決めます。使う場所の近くに定位置があると、習慣にしやすくなります。
- 帰宅したらすぐに置く習慣をつける: 外出から帰ったら、鍵や財布は必ず定位置に置く、というルールを自分の中で作ります。
- カゴやトレイを活用する: 細かいものや、まとめて置いておきたいものは、小さめのカゴやトレイに「一時置き場」を作ると、散らばらずに見つけやすくなります。例えば、鍵と印鑑、眼鏡ケースなどを一緒に入れておくなどです。
- よく使う場所の近くに置く: リモコンや眼鏡など、家の中で頻繁に使うものは、よく座る場所の近くなど、すぐに手が届くところに定位置を作ると便利です。
こうした「定位置管理」は、一度習慣になってしまえば、探し物の時間を大幅に減らし、心の余裕につながります。
薬の飲み忘れを防ぐ安心アイデア
毎日飲む薬がある場合、飲み忘れてしまったり、「あれ、今日飲んだかな?」と不安になったりすることがあるかもしれません。薬は適切に飲むことが大切ですので、こうした不安をなくす工夫を取り入れると良いでしょう。
具体的な工夫
- ピルケースを活用する: 1週間分や1日分など、曜日や時間帯に分けられるピルケースを活用すると、飲んだかどうかが一目でわかります。
- カレンダーにチェックを入れる: 薬を飲んだら、カレンダーに「〇」をつける習慣をつけます。毎日目にする場所にカレンダーがあると忘れにくいです。
- 食事と一緒に管理する: 朝食後、夕食後など、必ず行うこととセットにして「食事が終わったら薬を飲む」と決めると、忘れにくくなります。薬を食事の用意をする場所に置いておくのも良いでしょう。
- 身近なものと組み合わせる: 歯磨きをしたら薬を飲む、寝る前に水を飲む際に薬も飲むなど、既存の習慣と結びつけるのも効果的です。
薬の管理に不安がある場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみるのも良い方法です。飲みやすい工夫や、適切な管理方法についてアドバイスをもらえることがあります。
消し忘れの不安を減らすヒント
電気やガス、水道の蛇口など、「消し忘れていないかな」と心配になることがあるかもしれません。特に家を出てから気になると、落ち着かないものです。
具体的な工夫
- 「指差し確認」を習慣にする: 家を出る前や寝る前に、「電気よし」「ガスよし」「戸締りよし」のように、確認したいものを指差しながら声に出して確認します。五感を使って確認することで、記憶に残りやすくなります。
- チェックリストを作る: 特に外出前には、確認したい項目(鍵、電気、ガス、火元、窓など)を手書きのリストにして、玄関などに貼っておき、一つずつチェックしてから出かけるようにします。
- タイマーを活用する: コンロなど、一定時間だけ使いたいものについては、キッチンタイマーを活用するのも一つの方法です。
こうした確認の習慣や具体的な手順を決めておくと、「多分大丈夫だろうか」という漠然とした不安が減り、安心感につながります。
外出時の忘れ物を防ぐ準備
通院や買い物など、外出する際に必要なものをつい忘れてしまい、困った経験があるかもしれません。これも事前の準備で防ぐことができます。
具体的な工夫
- 必要なものをまとめておく場所を作る: 外出時に必ず持っていくもの(診察券、財布、携帯電話、家の鍵など)を、まとめて置いておく専用のポーチやカゴを用意します。
- 前日に準備をする: 翌日外出する予定がある場合は、必要なものを前日のうちに専用の場所にまとめておきます。朝慌てて準備するよりも、忘れ物を防ぎやすくなります。
- 持ち物リストを作る: 頻繁に必要なものや、その日の外出で特に必要なものをリストアップしておき、出かける前にチェックします。これも手書きで、よく使うバッグなどに入れておくと良いでしょう。
少し早めに準備をすることで、気持ちにも余裕が生まれ、忘れ物の心配を減らすことができます。
小さな工夫が安心につながる
日々の「うっかり」や忘れ物は、誰にでも起こりうることです。もし増えてきたと感じても、落ち込んだり、ご自身を責めたりする必要はありません。ご紹介したような小さな工夫や習慣を取り入れることで、日々の暮らしはぐっと楽になり、安心感が増します。
完璧を目指す必要はありません。まずは一つ、気になっていることに対して「これならできそうかな」と思える工夫から試してみてください。そして、もしうまくいかなくても、「次はこうしてみよう」と調整すれば良いのです。
ご自身のペースで、できることから始めてみることが大切です。こうした工夫が、日々の安心と心地よさにつながることを願っています。