日々の体調を自分で知る 安心につながる健康記録のヒント
はじめに:日々の体調に向き合うことの大切さ
年を重ねるにつれて、これまでとは少し違う体の変化を感じることがあるかもしれません。漠然とした不安を抱えることもあるでしょう。そんな時、日々の体調に少し意識を向け、記録することは、ご自身の状態を理解し、安心して過ごすための大切な手がかりになります。
特別なことではありません。ほんの少しの時間を使い、ご自身の体の声に耳を澄ませることから始めてみましょう。
なぜ体調を記録すると良いのでしょうか
日々の体調を記録することには、いくつかの利点があります。
- 小さな変化に気づきやすくなる: なんとなく調子が違うと感じたとき、記録を見返すことで「いつもと比べてどうか」が分かりやすくなります。ご自身だけでは気づきにくい変化に、客観的に気づくきっかけになります。
- 医療機関での受診時に役立つ: 医師や看護師に現在の状態を伝える際、記録があればより正確に、具体的に説明できます。「いつから、どんな症状が、どのくらい続いているか」といった情報があると、診断や治療の助けになります。
- ご自身の体調パターンを知る手助けになる: 記録を続けることで、「どんな時に体調が良いか」「どんな時に疲れを感じやすいか」など、ご自身の体調のリズムや傾向が分かってきます。
- 安心感につながる: ご自身の体調を把握できているという感覚は、それだけで安心感をもたらします。不安が和らぎ、日々の生活をより穏やかに過ごせるようになります。
具体的に何を記録すれば良いか
難しく考える必要はありません。ご自身が気になることや、変化を感じやすいことを中心に、無理のない範囲で記録しましょう。例えば、以下のような項目が考えられます。
- 日付と時間: いつ体調はどうだったか、基本となる情報です。
- 今日の気分: 「良い」「普通」「あまり良くない」など、簡単な言葉で表現してみましょう。
- 体の状態: 痛みやだるさ、眠気など、具体的な症状があれば書き留めます。もし血圧や体重などを測定している場合は、その数値も記録します。
- 食事: 食欲があったか、あまり食べられなかったかなど、簡単にメモします。
- 排泄: 便通や尿の状態など、気になる変化があれば記録します。
- 活動: どのくらい体を動かしたか、散歩に行ったかなど、一日の活動の様子。
- 薬の服用: 処方されている薬をいつ飲んだか、飲み忘れはなかったか。
- その他気づいたこと: 「よく眠れた」「あまり眠れなかった」「天気は晴れだった」「来客があった」など、体調に関係ありそうなことや、後で見返した時に思い出せるようなことを自由に書きます。
すべての項目を毎日記録する必要はありません。ご自身にとって大切だと感じる項目を選び、できることから始めましょう。
無理なく続けるための記録方法
「毎日つけなければ」と気負うと、かえって負担になってしまいかねません。長く続けるための工夫を取り入れましょう。
- 簡単な言葉で、短く: 長文を書く必要はありません。単語や短いフレーズ、箇条書きで十分です。「足がだるい」「食欲なし」「血圧 130/85」のように、後でご自身が分かれば大丈夫です。
- 使いやすい道具を選ぶ: 特別なノートである必要はありません。普段お使いのカレンダーの隅にメモしたり、手帳の空いたスペースを使ったり。市販されている血圧手帳や健康チェックノートなども活用できます。スマートフォンをお持ちであれば、メモアプリを使うことも可能です。ご自身にとって一番手軽で、いつでも目につくものを選びましょう。
- 記録する時間を決める: 「朝食後」「寝る前」など、一日のうちで記録する時間を決めておくと、習慣になりやすいです。忘れないように、記録するノートやペンを決まった場所に置いておくのも良いでしょう。
- 完璧を目指さない: 忙しかったり疲れたりして、記録をつけられない日があっても気に病まないでください。書ける日に、思い出せる範囲で書きましょう。書くこと自体が目的ではなく、ご自身の体調を知るための手助けと捉えましょう。
記録した情報をどう活かすか
記録をつけただけではもったいないので、ぜひ活用してみてください。
- 定期的に見返してみる: 一週間や一ヶ月など、区切りをつけて記録を見返してみましょう。体調の波や、どんな時に体調が崩れやすいかなど、ご自身の傾向が見えてくることがあります。
- 家族や専門職と共有する: ご自身の体調で気になることがあれば、記録を見ながらご家族に話したり、ケアマネジャーさんや医師、薬剤師さんに見てもらったりするのも良いでしょう。客観的な情報があることで、相談しやすくなります。
- 生活の工夫に役立てる: 記録から「午後になると疲れやすい」といった傾向が分かれば、午後は無理をしない予定を入れる、休憩時間を増やすなど、日々の過ごし方を調整する参考にできます。
おわりに:自分を大切にする一歩として
体調の記録は、ご自身の体と心に向き合い、大切にするための一つの方法です。難しいこと、大変なことと捉えず、今日の自分はどうだったかな、と振り返る穏やかな時間として取り入れてみてはいかがでしょうか。
気負わずに、できることから始めてみてください。小さな記録が、日々の安心につながることを願っています。