一歩外に出る自信を 負担を減らす外出の具体的なヒント集
加齢とともに、「以前より歩くのが大変になった」「人混みに出るのが億劫になった」と感じる方は少なくないかもしれません。外出に対する不安から、家に閉じこもりがちになってしまうこともあるでしょう。しかし、少しの工夫や準備で、外出はぐっと楽になり、日々の生活に彩りを取り戻すことができます。
このコラムでは、外出への不安を和らげ、負担を減らすための具体的なヒントをご紹介します。
外出前の準備を整える
外出を安全で快適にするためには、事前の準備が大切です。
体調の確認と無理のない計画
- 外出前に必ずその日の体調を確認しましょう。少しでも不安がある場合は、無理せず延期することも大切です。
- 行きたい場所までのルート、移動にかかる時間、現地の情報を事前に調べておくと安心です。初めての場所や久しぶりに行く場所なら、特に念入りに確認しましょう。
- 休憩できる場所やトイレの場所を把握しておくと、急な体調の変化にも対応しやすくなります。
- 無理のない範囲で、短い時間や近所への外出から始めてみるのも良いでしょう。
持ち物の工夫
- 杖を使用している方は、忘れずに持参しましょう。適切な長さの杖を使うことで、歩行が安定し、疲れにくくなります。
- 持病があり薬を服用している場合は、必要な薬や常備薬を携帯しましょう。
- 水分補給は大切です。特に暖かい時期は、飲み物を持ち歩くことをお勧めします。
- 急な体調不良に備え、保険証のコピーやお薬手帳、緊急連絡先を控えたメモなどを持ち歩くと安心です。
- 小銭やICカードなど、交通機関や買い物で必要なものをすぐに出せるように準備しておきましょう。
動きやすい服装を選ぶ
- 歩きやすく、疲れにくい靴を選びましょう。底が平らで滑りにくいものが安全です。
- 体温調節がしやすいよう、重ね着を工夫すると良いでしょう。気候や場所に合わせて、脱ぎ着しやすい上着などがあると便利です。
移動中の負担を減らす工夫
実際に外出する際の移動中にも、負担を減らすための工夫があります。
安全な歩行を心がける
- 急がずに、ご自身のペースでゆっくりと歩きましょう。
- 足元に注意し、段差や滑りやすい場所がないかよく見て歩きましょう。
- 信号が青でも、左右をよく確認してから渡る習慣をつけましょう。
こまめに休憩を取る
- 疲れる前に、ベンチなどを見つけて休憩を取りましょう。立ちっぱなしや歩きっぱなしは思っている以上に体力を消耗します。
- 商業施設や駅などには休憩スペースが設けられていることが多いので、活用しましょう。
公共交通機関を利用する際のヒント
- 可能であれば、混雑する時間帯を避けて利用すると、ゆったりと座れたり、乗り降りがしやすくなります。
- 優先席を遠慮なく利用しましょう。
- ICカードを利用すると、切符を買う手間が省け、スムーズに乗降できます。
- 駅の改札や通路に不安がある場合は、駅員さんに声をかけることをためらわないでください。
その他の移動手段
- 体の状態によっては、タクシーの利用も検討しましょう。最近では、乗降に配慮した福祉タクシーなどもあります。
- お住まいの地域によっては、高齢者向けの送迎サービスやデマンド交通(予約制の乗り合い交通)が利用できる場合があります。地域の役所や社会福祉協議会に問い合わせてみるのも良いでしょう。
外出先での安心と楽しみ
目的地に着いてからも、安心のためのヒントと、外出を楽しむ視点をご紹介します。
困ったときの対応
- 外出先で道に迷ったり、気分が悪くなったりした場合は、無理せず近くのお店の人や通行人に声をかけてみましょう。
- 事前に家族や信頼できる友人に、今日の外出先や帰宅予定時間を伝えておくと、いざという時に安心です。
- 携帯電話を持っている場合は、緊急時に連絡できるよう、充電をしっかりしておくこと、すぐにかけられるように準備しておくことが大切です。
外出を楽しむヒント
- 外出の目的を「〇〇を買いに行く」「〇〇さんに会いに行く」といった具体的なものにするだけでなく、「季節の風を感じる」「道の花を眺める」といった、ささやかな楽しみを見つけてみましょう。
- 近所の公園や散歩コースなど、無理なく行けるお気に入りの場所を見つけておくのも良いでしょう。
- たまには、少し足を延ばして、以前好きだった場所や行ってみたいと思っていた場所を訪れてみるのも、良い刺激になります。
まとめ
加齢による身体の変化は自然なことですが、それによって外出を諦めてしまうのはもったいないことです。事前の準備をしっかり行い、移動中の工夫を取り入れ、無理のない範囲で一歩外に出てみましょう。
最初は短い時間、近い場所からでも構いません。外の空気に触れ、景色を眺め、人と交流することは、心身のリフレッシュにつながります。小さな成功体験を積み重ねることで、外出への自信も少しずつ回復していくでしょう。
もし、一人での外出に強い不安を感じる場合は、ご家族や信頼できる方に付き添いを頼んだり、地域の相談窓口(地域包括支援センターなど)に相談してみるのも一つの方法です。あなたらしいペースで、安全に、そして少しでも楽しく外出できる工夫を見つけていただければ幸いです。