毎日の脳と指先の体操 心穏やかに過ごすためのヒント
加齢に伴い、体の動きが以前よりゆっくりになったり、自宅で過ごす時間が増えたりすることで、「なんとなく時間を持て余してしまう」「頭を使うことが減ったように感じる」といった変化を感じる方もいらっしゃるかもしれません。日々の生活に心地よい刺激を取り入れ、心身ともに活き活きと過ごすことは、穏やかな毎日を送る上で大切なことです。
なぜ脳と指先を使うことが大切なのでしょうか
脳と指先は密接につながっています。指先を動かすことは、脳の様々な部分を刺激し、活性化させることが知られています。また、何かを作り出したり、考えたりする時間は、集中力を養い、気分転換にもつながります。特別な道具や広い場所は必要ありません。ご自宅で、ご自身のペースで気軽に取り組める活動がたくさんあります。
指先を使った簡単な活動のヒント
指先を使うことは、細かい作業能力を維持するだけでなく、脳への良い刺激になります。
- 折り紙 複雑なものでなくて構いません。鶴や風船など、昔折ったことのある簡単なものから始めてみましょう。色とりどりの折り紙を使うと、目にも楽しい時間になります。
- あやとり 一人でも、誰かと一緒でも楽しめます。指先を細やかに動かす練習になります。
- 手芸のまねごと ボタン付けの練習や、太い毛糸を使った簡単な指編みなどはいかがでしょうか。完成させることが目的ではなく、指先を動かすこと自体を楽しみます。
- お豆をつまむ練習 お皿の上に数種類のお豆を置き、お箸を使って別の器に移す練習です。集中力と指先の協調性を養います。専用の訓練用具なども販売されています。
- 日々の動作を丁寧に 食器を洗う、洗濯物を畳む、買い物の小銭を数えるなど、普段何気なく行っている動作をいつもより少し丁寧に意識して行うことも、指先の良い体操になります。
頭を使う簡単な活動のヒント
考える時間を持つことは、脳を健康に保つために大切です。
- 簡単なパズルやクイズ ナンプレ(数独)、クロスワード、間違い探しなど、無理なく解けるレベルのものを選んでみましょう。書店や100円ショップでも手軽に入手できます。
- 音読や書き写し 新聞の記事、好きな本の一節、昔読んだ詩などを声に出して読んでみたり、ノートに書き写してみたりします。読む、書くという行為は脳を広く使います。
- 簡単な計算や家計簿 今日の出費を計算したり、一週間の簡単な家計簿をつけてみたりするのも、脳の活性化につながります。
- 日記をつける その日にあった良いことや感じたことを短く書き留めてみましょう。書くことで気持ちの整理にもなり、後で読み返す楽しみもできます。
- ニュースへの感想 テレビや新聞で見たニュースについて、「自分はどう思うかな?」と考えてみるだけでも、頭の体操になります。
指先と頭を同時に使う活動のヒント
両方を使う活動は、より脳への刺激が大きくなります。
- 塗り絵 最近は高齢者向けの、大きめの絵柄や細かい絵柄の塗り絵もたくさんあります。色を選ぶ、線をはみ出さないように塗る、といった作業は、集中力と指先の細かい動きを促します。
- 簡単な楽器演奏 ハーモニカやウクレレなど、手軽に始められる楽器で知っている曲を練習してみるのも楽しいものです。楽譜を読む、指を動かす、音を出す、耳で聞く、という全身を使う活動です。
- カードゲームやボードゲーム 一人で遊べるトランプのソリティアや、将棋・囲碁の簡単な詰め将棋、またはご家族や友人と楽しむゲームも良い刺激になります。
- 料理の下ごしらえ 野菜の皮をむく、刻む、魚をさばく(簡単なもの)など、手順を考えながら指先を動かす料理の下ごしらえは、脳と指先の連携プレーです。
無理なく続けるためのヒント
- 毎日少しずつ 一度に長時間取り組む必要はありません。一日10分でも15分でも、毎日続けることが大切です。
- 「ねばならない」と思わない 楽しむことを一番の目的にしましょう。「今日は気が乗らないな」という日は無理せずお休みしても構いません。
- 完璧を目指さない 折り紙がきれいに折れなくても、計算を間違えても大丈夫です。結果よりも、活動している時間そのものを大切にしましょう。
- 新しいことに挑戦 慣れてきたら、少しだけ難しいものや、今までやったことのない活動に挑戦してみるのも変化があって楽しいものです。
- 誰かと共有する 作ったものを見せたり、クイズを出し合ったり、一緒にゲームをしたりと、ご家族やご友人と一緒に楽しむ方法を見つけると、活動の喜びがさらに増えるかもしれません。
日々の暮らしの中で、少しだけ意識して脳や指先を使う時間を持つことは、心身の健康を保ち、穏やかな日々を送るための一助となります。ご自身のペースで、楽しむことから始めてみてはいかがでしょうか。